
- 作者: 益田ミリ
- 出版社/メーカー: ミシマ社
- 発売日: 2017/04/20
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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内容紹介
ただただむなしいとき、おいしいものにであえた日、
年齢を感じる瞬間、町で出会った人、
電車の光景、そして肉親との別れ。2コマで終わる「今日」もあれば、8ページの物語になる「今日」もある。
「今日の人生」の積み重ねが私の人生…。
描き下ろしを加え、
「みんなのミシマガジン」の人気連載「今日の人生」4年分が一冊に。
僕は益田ミリさんの「日常を切り取る力」の凄さに圧倒されるのと同時に、「女性のめんどくさい内面」みたいなものを感じることが多くて、なんとなく敬遠してしまうところもあるんですよね。
でも、この『今日の人生』は、「恋愛」とか「女性であること」を深堀りするのではなく、日常をさらっと描いてみたもののようだったので、手にとってみたのです。
それにしても、初版限定だという「今日の食事」の写真は、なんだかものすごく微妙だな……そこそこ手がかかっていて、栄養のバランスも悪くはなさそうなんだけれど、まあ、なんというか、「あまりに普通すぎる食事」が、ペラペラした写真になっていると、「これはどういう意味なんだろう……」と逆に考えてしまいます。
1969年生れの益田さんは、僕とほぼ同世代なのですが、このくらいの年齢になると、男も女も同じようなことを考えているのだな、という発見もありました。
子供が生まれたばかりの人(男性)が、わたしの前で一切子供の話をしないのは、わたしがかもし出している空気に問題があるのだろうかとふと思った、今日の人生
これを読んで、気を遣ってその話題をしないようにしていることが、かえって相手にそれを意識させてしまうこともある、というめんどくさい堂々巡りを再確認してしまった、僕の今日の人生。
こういうのって、子供の話題をしたことによって傷つく人がいて、しないことによって、「自分が気を遣われていること」に悩んでしまう人もいる。
この場合は、どちらも悪気がないだけに、なんだかとても、もどかしい感じがします。
益田さんから子供のことを持ち出すと、今度は相手の側が「益田さんに『配慮』をさせてしまった……」と思うかもしれません。
こういうのって、もう、相手との相性でしかないのかな、とか考えてしまうのです。
もともと好意を持っている人だったら、子供の話をしてもしなくてもOKで、嫌いな人だったら、どっちにしても、「嫌がらせ?」と邪推してしまう。
こういうめんどくさい感情を、シンプルな絵と言葉で表現できることが、益田さんの凄味なんだよなあ。
「昔、お世話になったし」にも時効があるのだ
と、踏ん切りをつけることで、
その人を憎むまでにはならず、
が、しかし、
もう二度と、どんな頼まれごとも引き受けはしない
と、決心できることに気づいた
今日の人生
言葉も絵もそんなに「重い」わけではないし、そんなに時間もかからずに読めるのですが、「この本はきっと、忘れたころに本棚から取り出して、ページをめくりたくなるのだろうな」と思います。
そんな本を読んだ、今日の人生(……って、真似したくなりますねこれ)。

- 作者: 益田ミリ
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2009/08/01
- メディア: 文庫
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