琥珀色の戯言

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【映画感想】グレイテスト・ショーマン ☆☆☆☆

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あらすじ
P・T・バーナム(ヒュー・ジャックマン)は妻(ミシェル・ウィリアムズ)と娘たちを幸せにすることを願い、これまでにないゴージャスなショーを作ろうと考える。イギリスから奇跡の声を持つオペラ歌手ジェニー・リンド(レベッカ・ファーガソン)を連れてアメリカに戻った彼は、各地でショーを開催し、大成功を収めるが……。


www.foxmovies-jp.com


2018年、映画館での5本目。
観客は10人くらいでした。


この映画、予告編を観たときの印象では、「ちょっと微妙……」だったんですよね。
僕はミュージカル映画があまり好きじゃない、というのと、『レ・ミゼラブル』のようなスケールの大きさが感じられず、『ラ・ラ・ランド』のような「狙いすましたノスタルジー」も伝わってこなくて、なんかB級っぽいミュージカル映画だよなあ、と。
作品を観てみると「徹底してB級であること」こそが、この映画の魅力なんですけどね。


今回観に行ったのは、けっこう評判が良いのと、時期的に他に観たい映画がなくて、時間ができてしまったから、という理由だったのです。
ところが、上映開始後すぐに、「見せ場」っぽいショーの場面が繰り広げられ、すっかりこの世界に取り込まれてしまいました。


この映画、「努力!友情!挫折!勝利!」という、娯楽映画の王道パターンを迫力のある歌とダンスで見せてくれる作品で、ひとことで言うと、「観終えると、いい気分で帰れる映画」なんですよ。
深く掘り下げれば、正しいのかどうか悩ましいこともたくさん描かれているのですが、暗い雰囲気になりそうなときには、歌が流れてきてみんなが踊りまくるという、まさに「ミュージカル映画」。


P・T・バーナムは、「生きているものをショーに出す」というコンセプトを打ち出し、極端に背が高かったり、低かったり、全身入れ墨、というような、見た目のインパクトがあるキャストを、数字をサバ読みして宣伝し、観客を劇場に呼び寄せるのです。
子供の頃、地元のお祭りで観た「怪奇!ヘビ女!」とかを思い出してしまう(もちろん、本当のヘビ人間じゃないんですが)、下世話でインパクトがあるショー、というか、「見世物」ですよね。
地元民は「風紀を乱す」「フリークスを追い出せ!」とバーナムを糾弾し、新聞では「こんなショーはすべて『ニセモノ』だ」と酷評されます。
ところが、バーナムは、そういうネガティブな反応も「悪名は無名にまさる」とばかりに利用し、「酷評されている新聞を持参すれば、入場券半額キャンペーン」を敢行するのです。
ネットの「炎上商法」みたいなのって、19世紀からあったんですね。
そして、たしかに効果があった。
それまでの「上流階級の人々の社交の場としての芸術」から、「庶民のエネルギーが発散される場としてのショー」を生むことにもつながりました。
そもそも、「難しい内容の文芸もの」のほうが「本物」で、人々の好奇心をざわめかせるための「ビックリ人間ショー」みたいなものは「ニセモノ」なのか?
むしろ、人々を笑わせ、楽しませ、日頃のイヤなことから解放してくれるようなショーのほうが、世の中の役に立っているのではないか?


この映画を観ていると、バーナムさん寄りになってしまうのですが、これを観ていると、僕は昔からの疑問をまた思い出してしまうのです。


「小人プロレス」は、「身体的な特徴をセールスポイントにしたショー」なのか、「障害者を見世物にする行為」なのか?


この映画では、その時代性もあって(当時、多くの障害を持つ人は、家に隠され、「存在しないこと」にされていたのです)、「ユニークな人たち」は、バーナムのショーという「仕事」や「仲間」に生きがいを見つけることができた、と描かれています。
彼らのエネルギッシュなステージに観客も魅了されるのです。
しかしながら、いまの人間である僕は、彼らが「見世物」にされているのも間違いないよな、と思うのです。
「小人プロレス」は、「差別的である」という理由で行われなくなっていくのですが、仕事を失ったレスラーたちは「差別だとかなんとか言っている連中は、自分たちに仕事をくれるのか?」と嘆いていた、と記録されています。
先日、F1の「グリッドガール」が廃止されたとき、彼女たちが同じように訴えたのは、記憶に新しいところです。


本当に、エネルギッシュで、楽しくて、幸せな気分で家路につける、そんなミュージカル映画なのですが、僕には、「これを素直に『楽しかった!』と受け入れて良いのだろうか?」という一抹の疑念が残ってしまいました。
われながら、めんどくさい人間だなあ。


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グレイテスト・ショーマン(サウンドトラック)

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