琥珀色の戯言

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【映画感想】るろうに剣心 最終章 The Final ☆☆☆

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“人斬り抜刀斎”の異名で知られた緋村剣心(佐藤健)は、日本転覆を企てた志々雄真実と死闘を繰り広げた後、神谷道場でのどかに生活していた。あるとき、東京の中心部を何者かが連続して攻撃し、剣心と仲間たちにも危険が及ぶ。その事件は、剣心の過去と頬に刻まれた十字傷の謎に関わっていた。


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2021年、映画館での5作目です。
「ファーストデイ」で割引だったこともあって、コロナ禍のなか、50人くらいお客さんがいました。


僕はこのシリーズけっこう好きで、佐藤健さんのイケメンっぷりには、同性である僕も息を呑んでしまいます。
アクションシーンも、ハリウッド映画にありがちな「やたらと動きが速いけれど、何をやっているのかよくわからず、目が疲れるだけ」ではなくて、ちゃんと何をやっているのかわかるくらいのスピード感で、出演している役者さんたちが「とにかくたくさん走って疲れた」と言っていたのを思い出していました。

まあでも、率直に言うと、この『The Final』って、シスコン野郎が関係ない人たちを巻き添えにしまくり、相変わらず剣心は中途半端に反省しまくって「不殺」とかぬるいことをやっているのでイライラする映画なんですよね。
いやその人どうせ死刑じゃないの?とか、剣心の「不殺」に、仲間キャラが付き合っているように見えるのはなぜなんだ、とか。
斎藤一とか、「不殺」とかに絶対こだわらずにバッサリやるだろうに……映画的な年齢制限の都合とかあるんでしょうけど、とにかく不自然ではありました。

というか、『るろうに剣心』の映画って、みんな同じパターンなんじゃないか、と、『Final』でようやく気づいた感じです。
毎回捕まる神谷薫に「ピーチ姫かよ!」と心の中でツッコミを入れていました。

これまでは、スピード感や福山雅治さんが師匠として登場、志々雄などのフリークスっぽいキャラのインパクトなどで引き込まれていたのですが、雪代縁(えにし)って、原作のときから、どうもあまり憎めないというか、憎むほどのキャラクターの強さがないんですよね。
悪いヤツじゃなさそうなのに、やっていることは大迷惑っていう……
もうちょっとコンパクトに抜刀斎に復讐する方法はいくらでもありそうなのに。
都合よく出てきて、剣心をフォローしてくれるお馴染みのキャラクターたちの御都合主義感にも、観ていて苦笑してしまいました。
まあ、「Final」だから、サービスしたい、という気持ちもわかるんだけど……こんなに戦闘シーンばっかり続くと、観ているほうも飽きるよ……むしろ、ストーリーの弱さを爆発や器物の崩壊のインパクトでフォローしようとしているように見える……

るろうに剣心』に、ストーリーの整合性とか、キャラクター設定の緻密さを求めるほうが間違っているのは百も承知ですし、なんかスケール感だけで圧倒される、それで良いとは思うのです。
この『Final』は、剣心と巴の心の動きを描写しようとしかけて、「いや、それは『Beginnig』でやるから、ちょっと濁しておこう」と中途半端なところで引き返してしまう。
『Final』を観終えての率直な感想としては「これ、『Beginnig』要らなくね?」だったんですよ。『Beginning』が僕が予想しているような内容であれば、ということではありますが。
もうちょっと剣心と巴のエピソードを丁寧に描きたいのであれば、中盤のダラダラした破壊・戦闘シーンを30分くらい削って入れれば、ちょうど良いバランスの映画になったのではなかろうか。

ただ、これが激烈につまらないかというと、そういうわけでもないし、これはこれで、まあ、安心して観られる『るろうに剣心』ではありました。

でもなあ、もっとこうフリークス感に溢れた敵のほうが個人的には盛り上がるんだよなあ。

あと、武井咲さんと有村架純さんの見分けがつかない自分に驚きました。昔から、洋画ではとくに登場人物の顔が見分けられなくて困惑することが多かったのですが、この2人、こんなに似ていたっけ? 
薫には巴の面影がある、という設定、だったっけ……

新型コロナの波が公開直前にやってきて、僕が住んでいる地域では緊急事態宣言下での公開になってしまったのは不幸だとしか言いようがないのですが、コロナ禍じゃなくても、そんなに盛り上がらなかったかもしれないなあ……とは思いました。

むしろ、これを観ると、『Beginnig』よりも、旧作を観直したくなるのです。
とか言いながら、結局、観るんですけどね、『Beginnig』も。
でも本当に、この『Final』で終わりで良いんじゃない?というか、この『Final/Beginning』そのものが、「蛇足」っぽい……

あと、斎藤さんと恵さんがタバコを吸っているシーンは、この御時世に頑張ったな、と思いました。僕は非喫煙者ですが、恵さんが懸命な治療の合間にようやく、という感じで「一服」しているのを観て、こういうタバコ(劇中ではキセル)は悪くないな、と、感じずにはいられませんでした。


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