- 作者: ピエールルメートル,Pierre Lemaitre,橘明美
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- 作者: ピエール・ルメートル
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内容紹介
シリーズ累計120万部突破!『その女アレックス』のカミーユ警部、ただ一度だけの復活。
連続爆破犯の真の目的が明かされたとき、残酷で美しい閉幕が訪れる。
パリで爆破事件が発生した。
直後、爆破犯は自分であると警察に出頭した青年ジャンは、爆弾はあと6つ仕掛けられていると告げ、金と無罪放免を要求する。右腕のルイとともに事件を担当することになったカミーユ・ヴェルーヴェン警部は、青年の真の狙いは他にあるとにらむが……。
『その女アレックス』のカミーユ警部が、ファンの熱い声に応えて、富豪刑事ルイ、巨漢の上司ル・グエン、猫のドゥドゥーシュらとともに一度だけの帰還を果たす。『その女アレックス』と『傷だらけのカミーユ』のあいだに挟まる「カミーユ警部シリーズ」第2.5作。
残酷にして意外、壮絶にして美しき終幕まで一気読み必至。
ピエール・ルメートルさんの『その女アレックス』は、2014年の翻訳ミステリのランキングで「三冠」を達成し、かなり話題になりました。
この『わが母なるロージー』は、『その女アレックス』の主人公でもある、カミーユ・ヴェルーヴェン警部が『悲しみのイレーヌ』『その女アレックス』『傷だらけのカミーユ』の3部作以外で、唯一「復活」するという作品なのです。
時系列的には、『その女アレックス』と『傷だらけのカミーユ』の間の出来事、ということになるそうです。
パリに爆弾を仕掛けた、という男とカミーユ警部の駆け引きが読みどころ、なのですが、読んでみての率直な印象としては、ようやく盛り上がってきた、というところで、ほとんどページが残っておらず、唐突に終わってしまう(それなりに「美しい結末」だとも言えなくはないけれど)、という作品なんですよ。
時系列で時間を明示しながら書かれていて、それが何かの仕掛けに結びついているのかと思いながら読んだのですが、それもなんだか中途半端な感じです。
3部作で、身長が低くて絵が得意で、ひたすら粘り強いカミーユ警部に魅了された、という読者なら、あのカミーユ警部が出てくる!というだけで許せるかもしれないけど……単体のミステリとして読むと、これで「700円+税」か……消費税上がったしなあ……というのが僕の率直な印象でした。
ただ、文庫で200ページちょっとの中編なので、けっこう手軽に読むことができますし、翻訳ミステリは、あの字がぎっしり詰まった感じがつらい、という向きには(実は僕もそう思うことがあります)、一気に読み切れる、海外ミステリ入門編としては、案外、悪くない作品なのかもしれません。
あまりに直球な作品なので、叙述トリック慣れしきった僕は、「これで終わり?」と拍子抜けしました。
あと、フランスの警察って、「拷問担当」みたいな人がいるのか……と、怖くなりました。
うーむ、後はとくに……書くことないなあ。
カミーユ警部のキャラクターを深掘りしていったスピンアウト作品、というわけでもないんですよね。別にカミーユ警部じゃなくてもよさそう。
「解説」には、こうあります。
冒頭に収められた作家ルメートル自身による序文で、この作品の生まれた経緯が述べられている。ひとつは「道路脇の大きな穴」を見かけたこと。そして『天国でまた会おう』の執筆中に読み漁った第一次世界大戦の資料から「とんでもない数の砲弾が農地に降り注いだ」事実を知ったこと。さらに、独立した単発作ではなくカミーユ警部ものの一作とすることで『わが母なるロージー』は誕生した。
逆に言えば、「道路脇の大きな穴」+「たくさんの砲弾」で思いついたプロットに、カミーユ警部を乗っけた形なわけです。
主人公がカミーユでなければならない、という前提で書かれた「3部作」に比べると、キャラクターの印象が薄くなってしまうのも致しかたない。
うーん、このプロット、もっと長い作品にして、爆弾をめぐる駆け引きを描いていけば、もっと面白くなりそうなんだけどなあ……
「これで終わり?」感が強くて、僕は物足りなかった。
いや、ファンサービスというか、番外編みたいなものだから、と言われれば、それまで、なんですけどね。
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