琥珀色の戯言

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麻生さんのこと


私は隠れファンだったかもしれない(invisible-runner (2009/8/31))

↑のエントリを読んで、「ああ、僕もけっこう麻生さんのこと好きだったんだけどなあ」と、あらためて思いました。
いや、「漢字読み間違い」とか「帝国ホテルで毎晩飲んでいる」なんて話で一部マスコミに叩かれていましたし、政策としても、効率の悪い一時給付金や高速道路ディスカウントなどの「ばらまき作戦」には幻滅したのですが、選挙に負けたあと、自民党の人たちが、どうせ負ける首相指名投票で、「麻生なんて書けるか!」と言っているという話を聞くと、「国会議員ともあろう人々が、そのときのトップを貶めることによって、自分の責任逃れをしようだなんて、みっともないなあ」としか感じないのです。
今回・麻生首相は、「小泉改革」の歪みが顕在化してきて、安倍さん、福田さんがアッサリ政権を投げ出したあとに登場してきました。
言ってみれば、「敗戦処理投手」みたいなものです。

 ところで,今回の選挙特番の中で,一番カッコよかったのは麻生さんだったと思いますよ。なぜかというと,日テレの番組で麻生さんのこんなやり取りがありました。

・今回惨敗を喫したが,解散の時期をもっと前にしていたら,あるいは自民党は負けずにすんだのではないか?
 → 確かに時期を誤らなければ勝てたかもしれませんが,その時は緊急の経済対策など,日本のためにどうしても今成立させなければならない法案がありました。それらをやめて解散するという選択は,政治家としては出来ませんでした。
・それは,日本の国家のためにあえて自民党を犠牲にした,ということか?
 → 私はそんな自己陶酔的なことはありません。政治家として,解散よりこの法案を成立することに力を注ぐべきだと判断した,ということです。

 たしかに、もっと前に解散していたら、自民党はここまで負けずにすんだのかもしれません。というか、僕は今でも、「ここまで民主党が躍進するとはなあ」と驚いています。
 そんなにみんな、民主党に期待しているのだろうか?
 これはおそらく、「何にしても、ここは一度自民党政権を変えてみないとしょうがないな」ということで、その票が民主党に流れたのでしょう。
 とはいえ、「勝たせすぎたか?」と思っている人もけっこういるんじゃないかなあ。

 いろんな危機のなかで、あえて「辞任する」「解散する」という方法に頼らず、身内からも叩かれながらも「空白」をつくらないように辛抱してきた麻生さんは、「すごく有能」じゃないかもしれませんが、「けっこう誠実」だったと思うのですよ。
 数々の失言(たとえば、「金がないやつは結婚しないほうがいい」とか)にしても、麻生さんが「自分の言葉で語ろうとした」からこそ、出てしまったものじゃないかという気がしますし。

 僕は麻生さんよりも、選挙に負けたとたんに(あるいは、選挙をやる前から)「みんな麻生のせい」にして自省することのない厚顔無恥さが、自民党の大敗の原因だと感じています。そういう人を総裁に選んだのは、いったい誰なのか?と。
 そもそも、麻生首相、とくに最後のほうは、「麻生さんの力では、何もできない状態」にされていたのに。

 いや、そういう意味では、小泉さんの「自民党を、ぶっ壊す!」という言葉の勢いにつられて踊ってしまった僕も、恥ずべきなんですよね。
 麻生さんに対する自民党の偉い人たちの姿は、政治というものに対する日本国民の姿と同じなのかもしれません。

 とまあ、いろいろ書いてはみたのですが、実のところ、僕は麻生さんの「素直じゃないところ」が人間的に嫌いになれないのですよね。
 長生きして好きなマンガをゆっくり読んでもらいたいなあ、と願ってやみません。

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