琥珀色の戯言

【読書感想】【映画感想】のブログです。2016年8月より、『はてなブログ』に移行しました。

『琥珀色の戯言』が選ぶ、2018年の映画ベスト5

年末恒例の企画、2018年に観た映画のベスト5です。


今年は33本観ました。
3年前から、30本、24本、33本、そして今年も33本。
1ヵ月に3本弱、という感じですね。


では、さっそくランキングの発表です。


第5位 孤狼の血

孤狼の血

孤狼の血

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やっぱり、役所さんはすごいや。観ているのはあくまでも「演技」のはずなのに、「カメラのないところの役所さんって、ものすごく怖い人なのでは……」と思えてくるのです。
その役所さんの存在感を受けてとめている松坂桃李さんも良かった。

「自分の正しさが通用しない世界」と、人は、あるいは僕たちは、どう接していくべきなのか。
 なるべく接点を持たない、というのはひとつの正解なのかもしれないけれど、相手にとっては、こちらは「無防備な羊の群れ」にしか見えていないこともある。
 いざというときには「わるいスライムじゃないよ、いじめないで」と言えば、勇者は見逃してくれるのか。



第4位 レディ・プレイヤー1

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この映画の冒頭のレースシーンをみながら、僕は考えていたのです。
僕が中学生くらいのとき『TRON』を観て、「これが進化していったら、将来の映画の表現って、どうなっていくのだろう……」と思っていたんですよね。
あの頃、僕が「いつかこんな映像が観られる日が来るのではないか」と憧れていた未来に、この『レディ・プレイヤー1』で、ようやくたどり着けた気がするんですよ。



第3位 ちはやふるー結びー

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 参った、これ、ある一点を除いて、ケチをつけるところがまったくない極上の青春エンターテインメント映画です。正直なところ、僕が高校生くらいのときに観たら、「なんで自分には、こんな輝かしい青春がなかったんだ……」と嫉妬してしまったのではなかろうか。
 野球とかサッカーとか、そういう体育会系の世界は、僕にとっては「もし自分がここにいたら……」と想像するのが困難な世界なのですが、「競技かるた」には、もしかしたら、運動音痴の自分にもこれ、できたのではなかろうか……とか、ちょっと考えてしまうんですよね。実際は反射神経とか「耳の良さ(劇中では「感じが良い」と表現されていましたね)」、体力だって必要なんでしょうけど。何気に「部活対抗リレー優勝!」とかいうのが部室に飾ってあって、「やっぱり体力も必要なんだよ」とアピールされていましたし。そうだよね、やっぱり、体力あっての集中力、という面もある。

広瀬さんは「演技派女優」みたいな位置づけで、『怒り』や『海街diary』『三度目の殺人』と、複雑な背景や傷つけられる女の子を演じてきたのが印象的だったのです。
 でも、この映画のなかの広瀬すずさんは、こういう「ど真ん中のストレートな青春映画」のヒロインとして、本当に輝いていました。



第2位 万引き家族

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この映画で描かれているのは、「世の中には正解なんてない、よりマシな選択をしながら生き延びていくしかない」という人たちと、「社会には『正解』が存在していて、それに従わない(従えない)人たちは異物であり、悪なのだ」という人たちの絶望的なまでのすれ違いではないかと僕は感じました。
それは警察や福祉課に相談するべきだ、とか、生きるためとはいえ、万引き、とくに子どもが万引きなんてするのは間違っている、というのは簡単なんですよ。
でも、彼らは「万引きするか、家で温かい布団にくるまって、コンビニで買ってきたご飯を食べるか」という選択を迫られているわけではなく、「万引きするか、食べるものがなくて飢えに苦しむか」という世界で生きている。
子どもたちだけでも保護してもらえばいいのに、と言いたくなるけれど、そういう「公的機関にアクセスする方法」を知らない人たちも、少なからずいるのです。


「貧困とはどういうものか」を感覚的に理解するためにも、すごく有用な作品だと思います。
 正直、「わかったからといって、何ができるのだろう?」と自問するばかり、ではあるのだけれど。



第1位 ボヘミアン・ラプソディ

ボヘミアン・ラプソディ(オリジナル・サウンドトラック)

ボヘミアン・ラプソディ(オリジナル・サウンドトラック)

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ボヘミアン・ラプソディ』は、ひたすら「他のアーティストがやらないこと、オリジナリティがあること」の呪縛にとらわれた若者たち(まだ「何者でもなかった『クイーン』)が、試行錯誤の末につくりあげた「名曲」であり「迷曲」でもありました。
ガリレオって、どういう意味?」
僕も長年疑問だったのだけれど、あなたたちも疑問だったの?
発表当時「長すぎる」「理解不能」「駄作」などの評価が並んだこの曲が、今では「歴史的名曲」として賞賛されつづけているのも、面白いですよね。
そして、僕はあまりこの曲の歌詞に注目したことはなかったのですが、この映画をみていると、若い頃につくられた曲なのに、その後のフレディの人生を予言していたというか、むしろ、この曲のほうが、フレディの人生を引き寄せてしまったのではないか、とすら思えてくるのです。
で、「長すぎる」って批判されて、クイーンはそれに反発しているのだけれど、クライマックスでは……「まあ、やっぱり長すぎるのも事実だよね……」と、凄いステージに興奮しながら、ちょっと笑ってしまいました。
クライマックスのライブは、本当にすごいんですよ。これまでクイーンを知らなかった人でも、「あの観客のひとりになってみたかった!」と思うはず。



【総括】
今年も30作以上映画館で観たのですが、「これはひどい」というのはなかった一方で、「これはすごい!観てよかった!」と感動するようなものも少なかったような気がします。
今年はとくに洋画がいまひとつで、「ヒットの方程式にあてはめられて作られたのだろうし、それなりに楽しめるけど(それはそれで大事なことなんですが)、佳作以上のものではない」という作品が多かったんですよね。
それは、僕の映画選びの問題でもあったのでしょう。
「重い映画」を敬遠しがちでしたし、見やすい邦画を選びたい心境でもありました。
来年は、もう少し、冒険してみたい、と思っています。
言い訳がましくなるのですが、ネットを長くやっていると、「現実を知らないにもかかわらず、意識ばかりが高くなってしまう自分」に呆れてしまうこともあって、『万引き家族』という作品は、それを再認識させてくれる映画でした。
この映画に対して、「万引きを推奨する映画が海外の映画祭で賞をとるなんて、日本の恥」なんていう反応を示していた人が、ネットでは少なからずいたことにも、けっこう驚いたんですけどね。
本当にこの映画をみて、その感想を抱いたのであれば、観客の「読解力」というのは、もう、致命的に損なわれているのではなかろうか。
映画が簡単になったのは、作っている側だけの責任ではない、のかもしれません。


それでは皆様、よいお年を!


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