琥珀色の戯言

【読書感想】と【映画感想】のブログです。

レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで ☆☆☆☆


1950年代のアメリカ、コネチカット州。フランクとエイプリルのウィーラー夫妻は、閑静な住宅街に暮らし、子供にも恵まれた理想のカップル。しかし、甘い新婚時代の暮らしも次第に色あせていく。演劇志向のエイプリルは地元の劇団の舞台に立つが、芝居の出来が悪く夫婦で口論に。一方フランクは、しがないセールスマンの仕事にやるせない不満を感じていた。そんな時エイプリルが提案する。「みんなで、パリで暮らしましょう」と…。

L・ディカプリオとK・ウィンスレットが、あの『タイタニック』以来11年ぶりの共演。
豪華なキャスティングのわりには、公開時にそんなに盛り上がらなかったよなあ……などと思いつつ。
実際に観てみたら、盛り上がらなかった理由がわかりましたよ。なんというか、穴があいた金魚すくいの網みたいな映画。
いわく、「すくいようがない」。
妻と観たのですが、これほど夫婦で観ると激烈に気まずくなる映画はそんなにないような気がします。

都会で生活し、「お互いを特別な人間だと評価し、自分たちらしく生きようと高めあってきた」つもりのカップルが、妻の妊娠をきっかけに、「家族の幸せのために」田舎の閑静な住宅街での静かな生活をはじめます。ところが、二人はその刺激の少ない生活に飽き、閉塞感はつのるばかり。
そんななか、エイプリルは「パリへの移住」と「自分が専業主婦をやめて働き、夫は定職につかずに『自分さがし』をすること」を提案します。
最初は仕事に飽き飽きしていたフランクも賛同していたのですが、ひょんなきっかけで、「やりがいのある仕事」を与えられることになったフランクは、パリへの移住がイヤになってきて……

この映画、予告編とタイトルを見たかぎりでは(「燃え尽きるまで」ですからね……)、ゴールデンコンビによる熱いラブロマンス、だと思いますよね。
ところが、フランクとエイプリルの「温度差」が明らかになってくる中盤からは、「痛々しくて、もう観ちゃいられない」映画になってきます。
「あなたたちは特別だと思ってた!」と歯が浮くような言葉を吐きながら、毒舌三昧のイヤミな息子に過保護に接する大家には、心底ムカついてきます。

このふたりの「軋轢」の結末は……というところなのですが、うーん、なんて言ったらいいのだろう、とにかく一度観てもらいたい、としか言いようがないなあ。
ちなみに僕は、「エイプリルみたいな『自分探しばかりやっているスイーツ妻』につきあっちゃいられないから、フランクがかわいそう。これはもうしょうがない結末だ」、妻は、「この場合、夫は仕事を捨てても妻の回復のために尽くすべき、それが『家族』なんじゃない?」というのが、この映画の結末に対する感想でした。
僕の意見は「家族より仕事をとるなんて信じられない!」と妻に呆れられ、妻の意見に対しては、「でも、エイプリルの『病気』は、どうやっても治らないよ」と僕が反論。

人間関係っていうのは、あんまり完璧を目指さないほうがいいよな、突き詰めないほうが幸せなのかもな……
そんなことを考えさせられる映画です。
楽しくはないですが、いろんな意味で、興味深かった。
相手が「仕事と家庭」についてどう考えているのか、また、「パートナーとどこまで付き合う覚悟がある」のか、結婚前に知りたいカップルは、ぜひ一緒に観てみてはいかがでしょうか。

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